手書き文字が顧客満足度を高める??想いのこもった飲食店メニューを検証してみました

飲食店様におかれましてはメニュー作成は骨の折れる作業ではないでしょうか?グランドメニューだけで精一杯なのに、日替わりメニューを毎日書くのはもっての他とされている方も多いかと思います。

最近では無料で使える手書き風フォントも増えてきました。本当に手書きしたような精度の高いものもあります。そんな便利なソフトがあるかたわらで、手書き文字にこだわる飲食店の方も多いようです。

生産性の時代において時間も労働力も倍以上の “手書き文字” にこだわるその理由とは何か?手書き文字の魅力を探ります。

 

手書き文字の必要性とは?

先に結論めいたことを言いますと、「手書き文字」の特長は「人柄」だと思います。機械がつくるより人がつくる料理の方が愛情を感じるように、文字にも書き手の想いがこもります。それを見た人はほっこりしたり食欲が掻き立てられたりするため、デジタルにはないアナログならではの良さが手書き文字の必要性だと考えます。

そこで実際に手書き文字のメニューを導入している飲食店に伺い、導入理由と手書き文字の生かし方について聞いてきました。

 

毎日手書き文字でメニューを書く理由

取材店舗:海鮮酒房 粋

大阪守口市にある、「海鮮酒房 粋」さんにやってきました。新鮮な魚介と、旬の新鮮野菜を使った料理が楽しめるお店です。こちらでは毎日スタッフの方が手書き文字でメニューを作成されていることから、その理由を確かめに取材してきました。

 

海鮮酒房 粋 スタッフの青木さん
別の店舗での経験もあわせると、かれこれ10年間手書きメニューを書き続けられている青木さん。ちなみに書道経験はゼロ。

 

Webライター山崎達弥
メニューデザイン研究所メディアの専属ライター。食べることと、飲食店さんをこよなく愛する山崎が聞いてきました。

 

 

 

Q.初めになぜ手書き文字でメニューを書こうと思われたのですか?

 

青木さん:
この店では魚を毎日市場から仕入れるため、その魚によってお品書きも毎日変わります。同じメニューは使えないので、毎日書くということはひとつ前提としてあります。

 

青木さん:
パソコンを使うという手もありますが、手書き文字は気持ちのこもり方が違うので毎日手書きするようにもしています。

 

山崎:
気持ちのこもりかたですか。確かにタイピングでは気持ちはこもりにくい気がしますね。

 

山崎:
Q.毎日書き上げるのにどのくらいの時間をかけていますか?
青木さん:
だいたい1時間くらいは書いています。
山崎:
毎日1時間は凄いですね!!
山崎
Q.大変だと思うところは何ですか?

 

青木さん
どんなに忙しくても仕上げなければいけないことです。かれこれ10年間、どんなに忙しい日でも書いています。料理はあってもメニューがないのでは始まりませんから。

 

山崎
毎日1時間を10年間も続けているなんて!!!頭が下がる思いです。

 

 

山崎
Q.お客さんの反応はどうでしょうか?

 

青木さん
手書き文字独特の温かみは伝わっているように思えます。また、熱心にメニューを見てくれるお客さんは多いようです。

 

山崎
想いは届いているのかもしれませんね。

 

青木さんが手書きしたメニュー

山崎
Q.ちなみにパソコンで作るのではやはり駄目なのですか?

 

青木さん
活きの良さとか勢いみたいなものは手書き文字の方が表現できると思います。そういった想いはパソコンでは表現できないですから。

 

山崎
なるほど~ 手間を惜しんでも書く価値が手書き文字にはあるのですね。今日はお忙しい中、ありがとうございました!

鮮度が勢いとなって文字から伝わってくるおすすめメニュー

鮮度が閉じ込められたようなメニューですが、こちらも青木さんが書かれているとのことでした。

 

 

手書きすることによって、パソコンでは表現できない勢いや温かみのある文字が生まれることが分かりました。達筆な腕前にも驚きでしたが、「想い」と「上手さ」の両方を持つ手書き文字がより多くの心を惹きつけるのかもしれません。

次のカテゴリーでは書きたい想いはあるけど、書き方が分からないという方にプロの書道家がポイントをご紹介します。

 

プロが教える手書き文字のポイント3つ

メニューデザイン研究所でも活躍中のデザイン書道家さんから、ほんの少しの知識とテクニックで書けるようになるポイントを3つを教えてもらいました。

 

用意するものは筆ペンとA4コピー紙です

 

 

1.インパクトのある手書き文字

インパクトのある文字で客足をとめたい!そんなことが手書き文字で簡単にできます。書き方のポイントは極端に太い線と極端に細い線との組み合わせです。最初の書き出しは太字 ⇒ 細字 ⇒ 太字 ⇒ 細字といったように交互に組み合わせていけばメリハリのついた迫力ある手書き文字が簡単に書けます。

 

ライター山崎も挑戦してみました!

指導を元に山崎も挑戦してみました。意識するのは太字と細字、その組み合わせだけです。

上のノーマルな文字に比べてみても、下の様にインパクトのある「鶏の唐揚げ」になったかと思います。練習は一切必要ないので太字・細字だけを意識して書いてみてください!

 

 

2.動きのある手書き文字

一押しメニュー等、他のメニューと差別化したいときにも手書き文字は効果的です。動きのついた文字にするために下書きで円を先に書くことで大小のメリハリを簡単につけることがきます。その後に文字を流し込めば動きのついた文字が書くことができます。いきなり文字を書くのではなく、まずは円を書くことがポイントです!

 

 

3.読みやすい手書き文字

手書き文字は書き手の癖がでやすく見にくいというデメリットもありますが、あらかじめスペース配分をきめておくことで個性を生かしながら読みやすい手書き文字に仕上げることができます。下書きの際に書きたい数量と同じ数の○印で目安をつけることでバランスの良い手書き文字を書くことができます。

 

これなら紙と筆ペンがあればすぐにでも書けてしまいますよね!ちょっとした工夫で文字だけでも特徴が生まれるため集客ツールとしても使えるのが手書き文字の魅力かもしれません。

最後に気になるのがこれを見た一般人の方の反応です。心をこめて書いた手書き文字も、お客さんに伝わらなければ何の意味もありません。

次ではリアルな反応を確かめるべく街頭アンケートを行いました。

 

一般人50人に聞きました!心のこもった手書き文字は?

一般人のリアルな声を聞くために街頭アンケートを実施しました。

今回は「心のこもっているメニューは?」という質問に対して、3つの文字を用意しました。

  1. プリントした文字
  2. 店主が自ら書いた文字
  3. プロの書道家が書いた文字

心のこもった文字はどれが選ばれるのか、大阪天満で一般人50人に聞いてみました。

文字で書き手の想いは伝わるのか?

見せた瞬間、“店主自ら書いた手書き文字” を選んだお兄さんに迷いは一切ありませんでした。

“プリンター文字” に『寂しい感じがする。』とコメントしたのは主婦のお二人。

 

街頭アンケートの模様はコチラからご覧いただけます。

 

心のこもった手書き文字に選ばれたのはぶっちぎりで『店主の書いた文字』でした。その理由として、書いている人の人柄みたいなものが文字から伝わるからとのことでした。

 

手書き文字は字の上手さ下手さではなく想いの強さが一番ということも同時に知れたアンケート結果でした。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?『字は体を表す』とあるように、手書き文字は書き手の個性を伝える表現方法であることが分かりました。また食材の鮮度や料理のあたたかさも表現することで見る人の満足度を高めることもできます。

そして何より心をこめて書けば必ず相手に伝わるということです。この記事もきっと伝わっていますよね。ご繁盛ひとすじ!今回の手書き文字はここまで。最後までご覧頂きありがとうございました。