
映画好きなら誰もが憧れるハリウッド。その中心街に、セレブが足繁く通うという日本食レストランがあります。映画界の巨匠の名前が刻みこまれた歩道に堂々と店を構えるのは、「KATSUYA」。
オーナーは沖縄出身の上地勝也さんという方で、ロサンゼルスにたった4人しかないマスター・スシシェフの一人として名を馳せているのだそう。アメリカ国内だけでも9店舗もあり、2016年にはドバイ、エジプトなど国外にも出店を予定しています。
店に足を踏み入れてまず目を引くのは、スタイリッシュかつエキゾチックなインテリアデザイン。シックでフューチャリスティックなデコレーションに、舞妓さんの目元や唇をクローズアップしたアートや和模様の壁紙が施され、無機質ながらもどこか温かみを感じさせる色合いになっています。和と洋のエッセンスを見事に融合させたのは、なんと世界的に有名なインテリアの巨匠 フィリップスタルク。白い包丁のオブジェや帯飾りを髣髴とさせる巨大な紐などで伝統を表現しながらも、メタリックに染めたゴジラやアニメキャラのフィギュアでユニークさを添えています。
メニューブックも内装デザインと同じ舞妓さんの写真を使ったエキゾチックなデザインになります。
日曜のディナータイムだったので客層はまばらでしたが、店内はまさにアメリカの映画やドラマに登場するようなジャパニーズ・レストランといった雰囲気。ウェイトレスの人たちもびっくりするほど美しい方が多く、場所柄女優として活動しながらレストランで生計を立てている人たちなのかもしれません。
さて気になる料理ですが、最初に登場したのはエマ・ストーン似のウェイトレスがおすすめしてくれた「ハマチの刺身・ハラペーニョ添え」。新鮮なハマチの上に薄くスライスしたハラペーニョが添えられ、酸味のあるソースで味わうという至ってシンプルな一品ですが、脂の乗ったハマチのとろりとした触感にハラペーニョのピリっとしながらもさりげない辛さが加わって、なんともいえない絶妙なハーモニーです。
次に出てきたのは「油坊主(アブラボウズ)の味噌マリネ」。油坊主(アブラボウズ)とは聞きなれない名前ですが、ギンダラの一種で高級な魚なのだそう。味付けは上品な西京漬けで新生姜が添えてあり伝統的な味わいですが、添えてある野菜がスティックブロッコリーのガーリックバター焼きで、これが以外にも味噌味の白身魚と絶妙なコンビネーションを生み出しています。
お次は「和牛の陶板焼き」。口の中でホロリと溶ける和牛はアメリカでも人気なようで、醤油味のソースが染みこんだ舞茸や椎茸などのキノコ類と一緒頂くと、より一層そのおいしさが引き立ちます。
最後に出てきたのは「ロブスター巻き」。細かく刻んだロブスターで巻いたお寿司の上に、ゴロっと贅沢に焼いたロブスターが乗っており、その上には大胆にハーブがトッピングされ、周りに散りばめられたアボガトのソースと一味で味わうという、マスター・スシシェフ入魂の一品です。肉厚のロブスターにとろりとしたアボガドソースが締めにふさわしいゴージャスな味わい。
日本の伝統的な調理法に、日本でも珍しい食材を見事に組み合わせた、日本食通もうならせる素晴らしい創作料理でした。店構え、料理共にハリウッドの一等地にふさわしいKATSUYA。店を出ると、高級車からセレブの卵と思われるドレスをまとった若い女性たちと未来のジャスティン・ビーバー風の若い男性たちが舞い降りて、お店の門をくぐっていきました。ロサンゼルスに出店を考えているレストランオーナーの方には是非訪れていただきたい、インスピレーションに溢れる高級日本料理店でした。
KATSUYA【Hollywood】
Los Angeles, CA 90028