この記事で分かること

  • 中国企業とメニューデザイン研究所とのリレーションでメニューブックを作成。
  • 日本の食を正しく伝えるという使命を元に国境を越えたご繁盛に貢献。
  • メニューデザインの日本代表としての奮闘記をご覧頂けます。

 

武漢 倉橋家のルーツ

東京から2,500キロ離れた中国武漢市には100軒強もの日本食レストランがあるといわれています。日系企業の進出が、日本料理店の増加を後押ししています。この出店ラッシュが始まる15年も前から、人気の料理店が「倉橋家」です。出店数はなんと22店舗までにのぼります。

更に驚くことはこの22店舗のうち、日本人スタッフは一人もいません。「倉橋家」という屋号はオーナーの胡さんが日本での留学時代にお世話になった倉橋さんから頂いたもの。日本で不安を抱えていた時に、振るまわれた飾らない倉橋家の食卓はとても温かく、これがきっかけとなり「倉橋家」が誕生しました。

しかし、武漢の食文化は日本のものと真逆と言ってよい程、かけ離れたものでした。

 

倉橋家の課題

『武漢で、日本料理の素晴らしさを広めたい。』そう意気込む胡オーナーに立ちはだかったのは日本食とは大きく異なる中国の食文化でした。

 

濃い、辛いが武漢スタイル

中国の四大料理といえば、北京・上海・広東・四川料理ですが、武漢が位置する湖北省は東西南北をこの四大料理に囲まれた立地になります。そのため、湖北料理はどの四大料理も食べることができる文化と形容されます。またこの食文化の融合があってか、湖北料理味の味付けはとても濃く、辛いものが好まれる特徴があります。

 

薄い、味がない日本食

元来素材の味わいを大切にする日本食とは対象的であることが分かります。武漢から日本に訪れた観光客は牛丼チェーンの味でさえ薄いと嘆き、蕎麦に至っては味がしないため備え付けの七味を丸々使うことも珍しくないといいます。そういった武漢の方にとって和食は、高い、冷たい、味がない料理と捉えられているのでした。

 

メニューで本物を伝えたい

日系企業の進出や、和食ブーム(ユネスコ無形文化財登録)もあり、日本食への注目度は増すばかりですが、誤った伝わり方が浸透しつつある現状に不安を感じておられました。留学時代に知った本物の和食との乖離が起こっていることに自分だけの力では及ばないことも気づかれていました。そこで本物の日本食を伝えるためには本物のメニューブックが必要であるということを決断さたのです。

 

メニューデザイン研究所が初めにしたこと

2017年の秋にMDLのWEBにお問い合わせ頂いてから、日中間でのメニューブック作成がスタートしました。とは言え、やり方を特別に変えることはありませんでした。その理由は、飲食店の課題を解決するのがメニューデザインであって、それが日本でも中国でも変わりないとの自負があったからです。ただ、中国のかたが、日本の文化を知らないのと同じで、私達日本人も中国の文化を知りません。

そのため、いきなりデザインの話から始めることはせずに相手のことを知ることに専念しました。言葉・文化が分からないならいつも以上にじっくり、という気持ちで。

 

  • メニューデザイン研究所の取り組み案内
  • 成功事例の説明
  • スタッフアンケート
  • ヒアリングから課題の共有
  • ゴール設定

 

上記の手順で進め、ヒアリングを重ねることで信頼関係が増していくのを実感できました。その最たる例が現地に渡っての撮影です。最初でも言ったように、倉橋家さんには日本人スタッフがいません。15年間、武漢の人たちに愛される味つくりを行ってきたものの、和食はただただ、高い、冷たい、味がない料理と思っている人の方が上回っているのが現状です。本物の日本食を伝えるひとつの手段が日本のメニューデザイナーによる撮影ディレクションであったのです。

 

現地でデザイナーが感じたこと

予め日本でヒアリングした倉橋家さんの強みは以下の通りです。

  1. 食材の仕入れ力
  2. 武漢で13年営業している歴史
  3. 安くて美味しい日本食

確かなるこだわりと歴史が強みだと見てとれるのですが、同時に弱みも握っていることに私達は気づきました。

 

  1. 食材の仕入れ力 ⇒ 素材の良さを適正に訴求できていない
  2. 武漢で13年営業している歴史 ⇒ 常連客の高齢化、若者の集客が弱い
  3. 安くて美味しい日本食 ⇒ 中国人には高い、冷たい、生(味がない)

 

強みであるはずのものが、捉えかたや表現の仕方によっては弱みになってしまうのです。この不一致を埋めるべく撮影に同行し、写真には写らない所から本物を追求しました。

 

ギャップを埋めるために武漢に赴いた私達ですが、そのギャップに驚かされる場面もありました。それは中国のカメラマンのステータス(権威)です。カメラマンの言うことは絶対であり、盛り付けが気にくわないと平気で作り直しをさせます。

意外と言えば失礼にあたりますが、クオリティーに対して非常に高い要求を持たれていました。現に支払われるフィーも日本に比べて倍近く高いものだったと記憶しています。

ではなぜ私達が必要とされたのか?ということになります。綺麗で美味しそうな写真であれば、現地のカメラマンで十分ことが足ります。それでもコストをかけてまでを呼ばれたのには、写真では写らない作法であったり奥ゆかしさを表現する必要があったからです。

 

大手の水産会社から仕入れをしているから安心というのではなく、そういったコトをいかにメニューで伝えられるかが重要だと感じました。日本食が冷たいイメージをもたれたのもモノだけをそれっぽく綺麗にしたメニューデザインだったからだと分析します。

 

撮影当日、歓迎のため来るずっと前から出迎えてくれたスタッフのみなさん。

 

 

食材の意図を把握することでフォーカスするところも自ずと変わることを伝えました。撮影は良くも悪くもすべてを映しだすことを私達自身も改めて知ることができました。

 

まとめ

倉橋家のシェフに左右挟まれて記念撮影する東京支社の田中(中央左)と北條(中央右)。

若い世代がこのような馴染みの薄い世代に向け、迷わせないメニューを見せることも目指します。そして魅力を分かりやすく伝えることで、オペレーション低減を促す機能性もメニューブックには盛り込みました。

 

完成したメニューデザインの一例

メニューデザイン一例

 

味気のないものが、いつしか滋味深き味にかわりリピーターになるとも聞きました。そのようなお客様を大切にしながらも、早い段階で若者にも日本食の素晴らしさを伝えたいと最後まで胡オーナーはおっしゃっておられました。このような想いに、私達は突き動かされます。これからも「倉橋家」のご繁盛をメニューデザインでサポートし続けます!

この投稿は役に立ちましたか?
0人中0人がこの投稿は役に立ったと言っています。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事